2021/07/04

DX や働き方改革とか組織をどうやって変えるのか - How to change the world

組織とは人の集まりなので、「組織文化を変えたい」「働き方改革をすすめたい」「DX」というのは、組織の人の行動様式をどう変えるかということを意味します。

多くの人はいままでの行動様式を続けたい、現状維持という引力が強力なため、人の行動様式を突然変えようとするのはものすごくエネルギーがかかります。単に新しいツールを導入する、トレーニングを数回受ける、著名な人の社内講演会を開催するとかではなかなか変わるものではありません。

そこで、人の行動心理学に基づいて、そういった人の集まりである組織の行動様式をどうやって変えていくかをまとめているのがチェンジマネジメントです。その方法論というか、具体的なアプローチ方法を解説しているのが Jurgen Appelo 著の「HOW TO CHANGE THE WORLD - Change Management 3.0」です。

すこし前に Kindle Unlimited で見つけてとてもためになったので、自分自身の備忘録を兼ねてすぐに役立ち内容をピックアップしておきます。

まずはじめに、人の集まりという複雑な集合体の行動様式を変えたい場合、チェンジマネジメントに関して4つの側面を理解する必要があります。

  1. システムと踊る (Dance with the System) - PDCA のサイクルを回す
  2. 人に着目する (Mind the Poeple) - ADKAR モデルを使う
  3. ネットワークを刺激する (Stimulate the Network) - 適用カーブを活用する
  4. 環境を変化させる (Change the Environment) - 5つの I(アイ) を使う
細かくは本を読んでいただくとして、この中で私が重要だと思ったのは以下のポイントです。

小さく始める

いきなり対象を大きく始めるのではなく、小さいグループから始めます。また対象とする変更も小さく始めて、仮説検証を繰り返しながら徐々に対象を大きくしていきます。こうすることで仮設が間違えていた時にクイックに軌道修正を取ることができます。小さく始めて小さく失敗しながら徐々に成功に近づけていきます。

目的を明確にする

なぜそれをするのか、何を目指しているのかという点について、こちらはトップやリーダー層の明確な意思表示に加えて、繰り返しのメッセージングが必要です。大事なので2回言うと、繰り返しのメッセージングが重要です。組織に対するメッセージというのは、最低7回、それも異なるチャネルで実施しないと組織に浸透しないと言われています。

目的を明確にするのは、モチベーション3.0 (Daniel Pink著) の知的労働者の生産性を高める3つの原則にもあり、人の集合体である組織を動かすためにはとても重要なファクターであることがわかります。

ちなみに、こうかくとつい「組織変革」「働き方改革」とかを目的にしてしまう残念な組織がたまにありますが、これは手段と目的を履き違えています。組織改革、働き方改革、DX などいずれも手段です。目的は別にあるはずです。「変化の激しい市況の中で新しい価値を創造し提供し続けるために優秀な人材を集め、新興企業のスピードに負けないビジネスを開発し成長し続ける」みたいなのが目標になるはずです。

正しい人を巻き込む

本書の中で、いわゆるイノベーター理論の Adoption Curve を使いイノベーターから巻き込むことの重要性を説いています。この中で結構重要だと思ったのが以下の部分です。

The key to getting the majority of any population to adopt a vital behavior is to find out who these [unwanted] innovators are and avoid them like tha plague. If they embrace your new idea, it will surely die." - Kerry Patterson, Influencer [Patterson 2008]

本書でもこちらは引用部分なのですが、要するに、新しいアイデアを組織にいずれ浸透させていくための鍵は、いかに邪魔なイノベーター達を最初に巻き込まないようにするかである。 そうでないとそのアイデアはアイデアのまま終わると言っています。

例えば社内で普段から周りに疎まれているような変わり者が新しいアイデアに乗ってきてしまうと、いざ社内で普及させようとした時に、そのアイデアの良し悪しに関係なく、大勢の人達に受け入れてもらえなくなってしまうと言っています。

よって、イノベーター・グループから始める際には、上記とは逆に、組織内でそれなりに尊敬され、一目置かれるようなインフルエンサーのような人、つまり正しい人を巻き込む、というのが後々のアーリーアダプター、アーリーマジョリティーと浸透させていく段階での成功の秘訣となります。

インフルエンサーとなるような人たちを見つけること、もしくはインフルエンサーとなってくれそうな人たちを巻き込みインフルエンサーにすることがとても重要となります。

トップのコミットメント

いままでのはどちらかというとボトムアップ的なアプローチですが、組織のトップによる変わることへのコミットメント(覚悟)が重要になります。チェンジマネジメントをドライブする、イニシエーターと言われるようなコアメンバーがプロジェクトを完遂できるのも、リーダー達の後押しが合ってこその組織変革や DX です。上記の「目的を明確にする」にも関連しますが、トップやリーダーが「やっておいて」的な発想ではなく、自ら率先して変わることを示す、働き方改革や DX の急先鋒となることが重要です。

理解し、後押しして、自ら率先して継続してやってみせる。これをリーダーたちがやりきってこそ、組織の行動様式が変わっていきます。


0 件のコメント:

コメントを投稿