2021/08/28

一般社団法人を作る前に知っておいたほうがいいこと

最近、一般社団法人の IT 周りの環境整備を相談されて、もっと先に話に入れてたらなと思ったので、こちららにメモ書きしておきます。

とあるスポーツの学生連盟の運営を支援している各大学の OB で運営している理事会が、非営利団体として一般社団法人を設立しました。学連の活動としては、いろいろな事務連絡をメーリングリストを使いオフィス文書が添付されたメールのやりとりがされていることに加え、昨今の新型コロナ禍により会議がすべてオンラインで開催されています。

リモート会議は Google Meet を利用しているのですが、こちらは担当理事の方が無料バージョンを利用しているので、1回の会議が最長60分までとなり、会議が2時間枠の場合は2つ連続で会議作成するなどをしています。これは Zoom を利用していても無料ユーザーは40分とかしか時間設定できなかったので、他のサービスにすればいいというものでも有りません。

上記状況だったので、一般社団法人設立に合わせて Google Workspace の利用を理事会に進言しました。非営利団体の場合は、条件次第で Google Workspace for Nonprofits が利用でき、エントリーライセンスは無料で使えます。これが使えると、

  • 団体独自のメールアドレス
  • グループアドレス(メーリングリスト)
  • Meet の最大時間24時間、最大参加者100名
  • Google Drive(30GB/ユーザー)
など、Google Workspace の基本機能がすべて無料で使えます。Team Drive やオンライン会議のレコーディング機能などが必要な場合は、上位のプランも格安で利用することが可能です。

Google Workspace for Nonprofits の料金体系

Google Workspace for Nonprofits は Google が非営利団体向けに提供しているプログラム、Google for nonprofits のサービスの一つで、利用するには審査が必要です。審査の流れの詳細はこちらでご確認できます。

簡単に説明すると、審査自体は Techsoup という第三者機関が実施します。ここにまずは登録して、非営利団体としての審査に通る必要がありますが、一般社団法人の場合は次が条件となっています。以下 Techsoup のページから抜粋です。

一般社団法人【非営利徹底型のみ寄贈可】

※非営利徹底型の一般社団法人のみ、テックスープに団体登録することが可能です。

非営利徹底型の定義につきましては、下記の資料をご参照ください。

ポイントは上記2つ目の黒丸です。「非営利性が徹底された法人」とは国税庁のパンフレットから抜粋すると以下となります。

  1. 剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること。
  2. 解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること。
  3. 上記1及び2の定款の定めに違反する行為(上記1、2及び下記4の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含みます。)を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。
  4. 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の 1 以下であること。
Techsoup に審査を依頼する際は、定款の原本証明を行ったものを添え、上記の記載箇所を指定して申請する必要があります。つまり上記記載がない定款の場合は、当該プログラムの適用が受けられません

私が当該プログラムの適用を進言した際は、すでに法人化の手続きを完了しており、当法人の定款には上記の記載は有りませんでした。つまり「非営利性が徹底された法人」ではないので、申請することができませんでした。定款を更新する手間よりも、法人として Google Workspace を有料で契約することを選択してもらいました。こちらについては最低限の費用で活用する方法を別途投稿します。

一般社団法人を設立する目的は色々で、活動内容としては「非営利性が徹底された法人」にするのは難しいかもしれませんが、Google Workspace に限らず、事前にこういった優遇プログラムが使えることを検討した上で、定款を定めるのも大事かなと思いました。

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